恐怖に打ち勝ったのはBGMのおかげ

BGMに関して、今までで一番記憶に残っているのは、歯科医院の中で流れる洋楽のBGMです。 幼少の頃の記憶ですが、その歯科医院は少し古びていて歯医者が大嫌いだったにも関わらず嫌々連れられ、虫歯治療を施して貰っていました。 待合室にいる時間が鬼に監視されているようで怖く、時折聞こえてくるキィィンと響く歯医者特有の音が嫌で嫌で仕方ありませんでした。

それも名を呼ばれ、いよいよ診察台に乗せられる時になって、もうどうにでもなれと覚悟を決めたにも関わらず、なぜかそのまま診察台の上で待たされることになりました。 ホッとしたのと同時に地獄に落とされた気分になりました。 その時、ふと耳に流れ込んできたのが、今までずっと院内で流れていたであろう、洋楽のBGMでした。 見上げると確かにスピーカーがあり、音楽はそこから流れていました。

ずっと、「歯医者」への恐怖で一杯一杯で音楽など聞こえてなかったのです。 視線を横に流せば、ギッと尖った恐ろしく不気味なドリルやピンセットがずらりと揃っており、顔を戻し、瞼を閉じて診察台の上から流れ聞こえてくるBGMに耳を傾けることで恐怖を忘れようと思いました。 洋楽なので何を歌っているのかは分かりませんでしたが、メロディーはやさしく、バクバクとうるさかった心音がゆっくり穏やかになり、心地良くなってから、ようやく順番が回って来て治療となりました。

すでにBGMのおかげで落ち着いていたので、治療中は眠気が勝るほどリラックスすることができました。 その効果なのかは分かりませんが、洋楽のBGMには不思議と落ち着くものがあります。